交通局では、お客様が安全・安心に市電をご利用いただけるよう、乗務員の体調管理やマスク着用をはじめ、市電車内の消毒、車内換気など様々な取り組みを行っています。 特に、車内の窓開け換気については、車内温度の上昇や低下を招く恐れがあることから、お客様にご理解、ご協力いただきながら実施しているところです。 しかしながら、これまで車内の換気効果については、窓の開口が有効であると経験則から解っておりましたが、その効果(どのくらいで空気が入れ替わっているか等)が実際にどの程度なのかについては解りませんでした。 そこで、今回、Jotas(株)様にご協力いただき、車両走行中に窓開け換気を行い、窓からの風速、車内の二酸化炭素濃度、温度及び湿度を実測し、そのデータを基にシミュレーションを行いましたので、その結果をお知らせいたします。 今回の結果は、交通局が独自で実施した参考データになりますのでご了承ください。
計測条件 対象車両:1両編成車両(1200型)※同タイプの車両が一番多く運行しています。 運行区間:交通局前電停~健軍町電停を往復(約1時間) 運行方法:通常営業運行と同様に各電停で停車し、停車時は約20秒乗降ドアを開放 換気方法:現在営業運行で行っている以下の2パターンの換気方法で計測 ※車両の型式によって換気方法を使い分けています。 ①電車側面の窓4か所、電車前方及び後方の窓2か所(約10cm)を開け て換気 ②電車側面の窓4か所(約10cm)を開けて換気
計測いただいた換気量及びシミュレーションの結果、換気方法①では約3分間、換気方法②では約5分間で車内全体がほぼ換気されている状態が確認できました。 また、1時間の走行中、車内における二酸化炭素濃度の上昇や温度及び湿度に大きな変化はありませんでした。
路面電車における車内換気の基準等についてはありませんが、商業施設等においては、ビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)における空気環境の調整に関する基準に適合していれば、「換気が悪い空間」には当てはまらないとされ、厚生労働省から商業施設管理者へ、必要換気量(一人あたり30㎥/h)の確保に努めるよう示されております。 仮に、路面電車を商業施設と同じ基準に照らし合わせると、車内が満員状態(約80人乗車)の場合、約2,400㎥/hの換気量が必要になるところ、今回測定した結果では換気方法①では約4,450㎥/h、換気方法②では約3,231㎥/hの換気量があり、どちらも基準に適合していることから市電車内の換気状況は良好と確認することができました。 ※路面電車における車内換気の基準等についてはありませんが、国が研究機関等の鉄道車両内の換気に関する研究結果 の中で、「同一空間において、換気の頻度が高いことは、仮に車両内に飛沫が滞留している場合にこれが排出される 頻度も高くなると考えられることから、換気の回数が多いということも感染リスクの低減の観点からは重要であると考 える」と示されています。 測定結果(各種根拠資料)【結果① 気流シミュレーションの結果】 ※シミュレーション動画はこちらからご覧ください。(Jotas(株)様のホームページからご覧いただけます。) 動画や下図の中で使われている色の変化についての凡例は以下のとおりです。 (換気方法①:電車側面の窓4か所、電車前方及び後方の窓2か所(約10cm)を開けて換気した場合の結果)
(換気方法②:電車側面の窓4か所(約10cm)を開けて換気した場合の結果)
【結果② 走行中の車内における二酸化炭素濃度、温度及び湿度の測定結果】
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